遺言書の種類と特徴 ※共同遺言は禁止されています。
1.普通方式遺言書
自筆証書遺言 |
- 証人・・・不要
- ワープロ・代筆ではなく全文を自分の手で書くこと
- 日付・署名・押印も自らの手で行うこと
- 内容・存在そのものを秘密にできる
- お金がかからない
- 遺言が発見されない、偽造・変造・滅失・隠匿の恐れがある
- 家庭裁判所の検認という手間がかかる
|
公正証書遺言 |
- 証人・・・2名以上
- 公証人が作成するため、法律上の不備がない
- 公証人役場に原本が保管されるため、偽造・変造・滅失・隠匿の恐れなし
- 検認手続不要
公正証書遺言作成に必要な物
- 遺言書に押す実印
- 印鑑証明書(6か月以内)
- 戸籍謄本・住民票(遺言者・受遺者の関係証明するもの)
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
公証人への支払金額の目安(例)
目的の価額 |
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証書作成代 |
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遺言手数料 |
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支払合計額 |
5000万円 |
→ |
29000円 |
+ |
11000円 |
= |
40000円 |
1億円 |
→ |
43000円 |
+ |
11000円 |
= |
54000円 |
★費用・手間がかかるが、最も安全で確実。しかし、この後有効な遺言書が作成されると、正確だが無効になってしまう。 |
秘密証書遺言 |
- 証人・・・2名以上
- 自分で作成した遺言書(自筆でなくても可)に署名・押印し、同じ印鑑で封印。公証人に持参し、その遺言書が自分の遺言書であることを申述し、 氏名・住所を告げる。公証人に年月日・遺言者の申述を封紙に記載してもらい、それに遺言者・証人・公証人がそれぞれ署名・押印する。それを遺言者が保管す る。
★遺言の内容は秘密で、その存在は証人により明らかにされる。内容の不備により無効になるリスクがある。 |
2.特別方式遺言書
- 死亡の危急に迫った者や、避難した船舶・飛行機中にある者などが行えるもの。
- 証人を立てて作成される。
- 遺言者が普通方式により遺言できるようになった時から、6か月間生存すれば無効になる。
危急時遺言 |
一般危急時遺言(臨終遺言) |
難船危急時遺言(船舶遭難者遺言) |
隔絶地遺言 |
一般隔絶地遺言(伝染病隔絶者遺言) |
船舶隔絶地遺言(在船者遺言) |
遺留分とは
相続には、残された遺族の生活保障となるため、自分の財産と言えども全て自由に処分することは、法律で認められていません。相続人が取得することを保証された分が遺留分です。
遺留分の全財産における割合
相続のケース |
遺留分 |
各遺留分 |
子のみ |
1/2 |
子 |
1/2 |
配偶者と子 |
1/2 |
配偶者
子 |
1/4
1/4 |
配偶者のみ |
1/2 |
配偶者 |
1/2 |
配偶者と父母 |
1/2 |
配偶者
父母 |
2/6
1/6 |
配偶者と兄弟姉妹 |
1/2 |
配偶者
兄弟姉妹 |
1/2
なし |
父母のみ |
1/3 |
父母 |
1/3 |
兄弟姉妹のみ |
なし |
兄弟姉妹 |
なし |
遺言書の作成をお勧めするパターン
■夫婦二人で子もなく、父母もすでに他界しているケース
法定相続の場合、配偶者に3/4、兄弟姉妹にも1/4の相続権があります。しかし、配偶者に全財産を相続させる旨の遺言書を残しておけば、兄弟姉妹には遺留分は認められていないので、例えば居住不動産を分割しなければならないという事態はなくなります。 是非、遺言書の作成をお勧め致します。
遺留分減殺請求権
- 遺言書の内容が相続人にとって著しく不公平な内容であった場合、上記の表の割合で遺留分が認められる。遺留分権利者は受遺者や受贈者に対して遺留分の減殺請求をすることができる。遺言書に異議がなければ請求することはない。
- 配達証明付内容証明郵便で遺留分を侵害した相続人・受遺者・受贈者全員に対し意思表示を行う。
- 交渉が不可能な場合は家庭裁判所の調停・訴訟を通じて請求する。
- 財産分与が行われていない場合・・・遺留分を引いた額を受遺者に渡す。
- 財産分与がすでに行われた場合・・・遺留分の返還請求
- 時効・・・遺留分権利者が相続の開始、及び減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったときから1年以内。または相続開始から10年以内。